「ぼんぼん」の歌詞



一年生の時に買った提灯。

松本市に伝わる夏の伝統行事、「青山さま」と「ぼんぼん」。
「青山さま」は杉の葉を乗せた神輿をかついで各家をまわり、「塩まいておくれ」と厄払いをしながらご祝儀を集めて歩く男の子のお祭り。その後を着いて行く「ぼんぼん」の行列は提灯を下げ唄をうたいながら歩く女の子のお祭り。男の子は法被に鉢巻、女の子は浴衣にお花紙で作った花を頭に飾る。
この哀調をおびた曲にのせてうたう「ぼんぼん唄」、小さい頃は意味もわからず唄っていたが、わからないなりにいっしょうけんめい考えて、不思議な唄だな、ちょっとこわいな、と思った記憶はある。

そんな「ぼんぼん」の歌詞(松本ぼんぼんじゃないよ)。

1.ぼんぼんとてもきょうあすばかり

あさってはおよめのしおれぐさ

しおれたくさをやぐらにのせて

したからおみればぼたんのはな

ぼたんのはなはさいてもちるが

なさけのおはなはいまばかり

なさけのおはなホイホイ


この後、二番の「たなばたさまよ…」と続くはずなのだが、今の町会では二番以降は唄わない(たぶん誰も知らない)。一番の歌詞のコピーをぼんぼん前に小学生の女の子のいる家庭に配る。
かく言う私も、二番まではうろ覚えで唄った記憶があるが、三番以降の歌詞があることすら知らなかった。
同じ松本でも町によって歌詞も違うようだが(青山さまも今私が住んでいる町会では「塩まいておくれ」と調子をつけて唄わず、玄関前に神輿を乗り入れ、「わーい」と叫ぶ)、この唄の歴史はどうやら江戸時代にまで遡るらしい。
今ではだいたいどこの町も、役員さんが持つカセットレコーダーがコドモの代わりに唄っている。
子供のころの私も、履きなれないぽっくりに足は痛くなるし、相当の距離を歩かされて途中から唄どころではなく、塩竈神社に集合してから帰りしなにもらうお菓子やアイスクリームだけを楽しみに出て行った記憶がある。コドモなんてそんなものだ。
しかし昔(私の両親、昭和一桁生まれの時代)は隣町との神輿の遭遇で男の子どうしの喧嘩騒ぎもあったそうだ。当時の小学六年生といえば今の子供よりよっぽど自立していたことだろう。
そんなことを思うと、本来この祭りも子供たち主導のもっと楽しいものだったはず…そう言えば、前回の役員の時、青山さまの提灯に灯すろうそくの代わりに「携帯豆電球」が使われていてビックリしたっけ。

ふむ、コドモの中にも自律精神と社会性があった良き時代は過ぎたのかもしれない…コドモにとって今のほうがよっぽど、良い時代のはずなんだけど。


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