
穂高町にある漆芸作家の「高橋節郎美術館」へ行ってきた。
実家から車で十数分、いつでも行けると思うとなかなか行かないものだ。
家へ帰って仕事もしなければならないので、朝のうちにダッシュで回ることに。


素晴らしい枝振りの赤松・多行松。この風格、木の精が住んでいそうである。

高橋さんの作品は豪華絢爛、かつ確かな技術と技巧に溜息が出る。
同時開催されていた熊谷守一(1880-1977)さんの絵や書はいかにも素朴で、これもまた涙が出た。板に絵の具を塗り絵のように塗り、乾かないうちに削るようにして「線」で輪郭をとる…のだろうか。使っているのは西洋の油絵の具なのに、日本の田舎の、土の匂いがする色だ。
蟻を一日中観察していたり、池のメダカを何時間も眺めていたりした人だそうで、とっても親近感を感じてしまう私だった。
「線ではないよ、スジだよ」という会話が説明版にあり、ううむ。どっちだろう。と思った。
美術館は高橋さんの生家敷地の中にある。庭、生家や蔵部分は無料開放されていて、なかなかホッとできる場所。
人気のない敷地内を、なんとなくぶらぶらと歩いてみる。

なんと生涯学習のためのスペースやギャラリーとして、貸し出しもしている。





生家をじっくり見学してから、南の蔵へ。この美術館の、まるで時が止まったような空気感、いいよね…。

そこでは写真家・大沢成二さんの「デジタルで撮る屋久島」の写真展が開催されていて、これも木々や森の濃密な空気を感じられてとっても良かった。
大沢さんの濃くて深い森と木々の写真を見るうちに、高校生の頃に書店で偶然見かけて衝動買いした水越武さんの写真集「森林限界」を思い出す。良いよね、これ!て感じで画学生友達に貸して布教していたところ、最後に誰に貸したのか記憶が無いが返って来ず、そのまま行くえがわからなくなり、古書を買い戻した。ナケナシのお金をはたいて新品を買ったのになー。
そういうことはしっかり覚えてるんだよねw
大沢さんの写真の中に、月の光で撮ったと言う蒼い滝があり『真夜中の滝で撮影しているとき、屋久島の女神の助けを借りて恐怖が薄れた』と言う意味のコメントが添えられていた。
屋久島の深い森にある滝だ。しかも撮影は一人ぼっち。その恐怖、畏怖は想像に難くない。
屋久島山には今も、たくさんの精霊がいるのだろう。
[参考リンク]
・高橋節郎記念美術館HP
・フォトガイド(大沢成二さん)