Fさんのクレマチス


Fさんからいただいたクレマチス。
営林署を定年退職してからも、大工や植木職として働き続け、なんでもできたFさん。
70歳を過ぎても身軽で、ブロック塀の上をすいすいと歩き、重い枕木を涼しい顔で担いでいた。小柄なFさんが枕木を抱くと枕木しか見えなくなった。
何もわからず現場でただウロウロして職人さんの邪魔をする私を気づかってくれた。
「こんなものぉ抱っこしてちゃぁいけんな~、あははは。」
そう言って笑う日に焼けた顔はとっても素敵だった。

山のこと、道具のこと、仕事のこと、たくさん聞きたいことがあった。いつか、機会があったら・・・と思っていた。
でもそれは叶わなくなってしまった。Fさんはもういない。

ご自宅にお邪魔した時お庭の手入れ中だったFさん「くれるってわかってりゃもっと丁寧にほっただが」っておっしゃってたけど、ほら、今年もこんなに元気に咲いてますよ。蔓が伸びて、ガマズミを登り出しました。

優しい紫で咲き出して、だんだん明けの空のようなブルーに変わって行きます。


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